[2005.5月版]

>5/9
ポルトガルだっけ

皆々様
大変ご無沙汰致しておりました。
皆々様とコラムタナカさん
ひさしぶりの再会です。

いやもう先月は一日だけ東京に帰ってこれただけで
あとはずっと
左遷・・・ゲフンゲフン
いや出張でしてね。
いやー楽しかったですよ最高ですよ日本うまいな!みたいなですね。
いやーまた明日から始まるのがすげく楽しみだなぁ鬱だなぁ楽しみだなぁあははははは。

それはさておき
こないだその一日だけ帰った時に
mhashiさんとチャットしましてね。
つげ義春の「夜が掴む」を読んだんだ!といささか興奮気味で
ございました。

んでそれを読んだ時に
「田中の絵を思い出したんだ!」と
おっしゃるのでした。
じゃあ見せろやと。
おう見せたろやないかいと。
5月8日はどうだと。
いったろやないかいと。
その時に持ってきてやらあと。
じゃあ長期出張中に忘れないように手帳に書いておくから覚悟しといていただけますかと。
お前こそメメクラゲに気をつけて元気で出張に行って来て下さいよと。
そういう具合だったんですが。

去る7日に
明日行くんだよね?とメールを送ったところ
「予定してなかったけど行ってもええよー」
とのご乱心。
私が出張に行ってる間に
宇宙人に体をのっとられたんですか?と。

まぁそんなこんなで
いぐにぃさんも交え
毎度お馴染みのすっかりぐだぐだ
カステラってポルトガルだっけオランダだっけ
高松ってどこだっけ福島って東北だろひっかけ問題なんだよな福井とか福岡とな
みたいな飲み方でした。

で件のつげ漫画
夜が掴むですが。

私の絵はこんなじゃないし
私の頭の中はこんなじゃないし。
なんで私の絵を思い出したんですかね。
やられちゃったんですかね。
そういや
やられてたなぁ。
私もすっかりつげにやられてしまったのでした。

アメリカン・スプレンダーを読んだ時も
こういう漫画なら描けるなって思ったんです。
つげを読んでも
そう思いました。

そういやぁ
昔は漫画家になりたかったなぁ。

じゃあまた
出張です。


>5/18
注連原と書いて

別の会社ではあるんですが
ツアーの仕事仲間というか
そいう人で
絵やイラストやらを描いてらっしゃる
私よりちょい上くらいの人がいまして。
その方には
前々から
何となく似た臭いを感じておった次第なんですが。
便宜上ここでは
その方のことを
セキさんとしておきましょう。

んでそれまでの会場であれこれ
セキさんとは
意気投合したわけですが。
福岡の会場でですね。
もう会期も終わりのほうになって
空き時間に
セキさんが福岡市中央区大名に行ってみたと。
そして
これを見てくれと。

その手にあったのは
一枚の手書きのポストカード。
その絵は
人物を描いているんですが
やばい。
絶対やばい。
こいつはやばい奴が描いたに違いないという話でですね。
これはどうしたんですかと
自白に追い込んだ田中なわけですよ。

セキさんは何となく入ったその店で
最初は服を見てたんだけど
ポストカードに目が止まり
これすごいですねと。
そこから店員と話は弾み
それを描いた人は
ディジリドゥの演奏でライブペインティングをやってたんだとか。
そして今は注連原の美術館に住んで
制作していると。
そこはオープンスタジオみたいになってるから
行ってみるといいですよと。
そう言われて
またすごく変な美術館の案内フライヤーをもらってきた
そう言ってセキさんは
私にそのフライヤーを見せてくれたのでした。

完全に意味が分からないフライヤーでした。
しかしながら
絶対そこに何かある。
そう思わせるエネルギーに満ちたフライヤーでした。

とにもかくにも
その美術館の住所と連絡先はゲトーした田中さん。
元々
ツアーメンバーが帰った後も
実家に残ってゆっくりするつもりだったので
そのポストカードを描いた
伴幹雄のいる
注連原美術館とやらに
行ってみる事にしたのでした。

注連原。
福岡県浮羽郡浮羽町注連原。
注連原と書いて「しめばる」と読む。
いったいそこには何が!?

つい最近
事故っておしゃかになった車の代わりに
実家に届いた
新型クラウンに乗って
その未知の土地に向かってみた田中さんでした。

それが
彼の人生を変える出会いになるとも
知らずに・・・。

くすくす。

久しぶりに
コラム
続きます。


>5/22
あっちよ→

さて前回のコラムの続きです。

浮羽町注連原は
地図帳で見ると
福岡の一番はじっこで
もうほとんど
大分との県境。
何気に高校時代からの朋友
にんちゃんちあたりから山に登っていけるのでした。

山に入るとずっと
さほど大きくない川沿いに
道が走っていて
両側の斜面は
ほとんどが
棚田になっていました。
そして
道沿いにある民家は
藁葺きのものも目立ち
当日の快晴っぷりで
私は車を走らせながらも
すでに眩暈を覚える
美しい風景がずっと畳み掛けてくるのでした。

そうするうちに
注連原のバス停をみつけ
さぁそろそろか?と思った矢先。
そんな美しい日本古来の田園風景の中に
突如として
スペインというかジャマイカというか
学園祭で悪乗りしちゃった建物というか
そんな
むちゃくちゃな雰囲気を持った建造物に遭遇したのでした。
間違いなく
あのフライヤーと同じ
雰囲気が漂っています。

しかしそこに人影は無く。
建造物に
やたらめったらに描かれた絵やら文字を解析するに
そこはレストランらしく。
んで
注連原美術館はあっちよ→
みたいな看板ハケーン。

行ってみます。

バス停の傍でした。

てか土蔵じゃん!

しかし確かに注連原美術館という看板がありまして。
その庭先らしき敷地には
明らかに
おかしな石やら木の
おそらくは彫刻作品と思われる人工物が
ゴロゴロ・・・。
危険を感じなくも無かったですが
意を決して蔵の中に入ろうとすると
電気ついてない。
入ってみると
「ご自由に電気をつけてください」みたいな書置きがあったので
電気をつけてみます。

1階は
いろんな作家の作品が
さほど広くないスペースに
雑多に展示されてて
しかし
どれもなんだかすごいエネルギーを感じます。
んで
部屋の真ん中にテーブルがあってですね。
その上にいろんなファイルがあってですね。
その中に
真っ赤な作品ファイル
ハケーン。
どうやらこれこそ
私が訪ねてきた伴幹雄氏の作品集らしかったのです。

んでプロフィールを見ると
なんと
私と年変わらないじゃないかよっ!
まじかっ!
かろうじて一個上だ!
相棒氏と同じ年だ!
勝手におっさんだと思ってた!

そのファイルの中の作品の輝きといったら
もう私は絶句でした。
それぞれの制作年が書いてあるわけですが
その同時期に
私が描いていたものと比べると
もう
当時の田中ちゃんったらダメちゃんねっ♪
みたいな。
そうこうしてるうちに
階上がにわかに慌しくなり
降りてきたのは
確かに私と同年代に見える
若い男。

「あっ、どうもこんにちわー。」

人見知りと臆病さを漂わせた笑顔で彼は近づいてきたのでした。
異様なオーラなどはなく
むしろ
私らの世代によく感じる
妙な自信の無さと腰の低さと人懐っこさが
同居したいわゆる
いい人。
決して相手を威圧したりするような人間ではありません。

その雰囲気に
あっという間に同類であることをお互い感じあったのでしょう。
美術とか絵とかで
話は盛り上がったわけです。

そして名古屋あたり出身の彼
伴幹雄はなぜ
こんな福岡県民も知らないような田舎の
土蔵を改造しただけの美術館の2階に住み込んで
そこで制作をしているのか・・・。

私の心を
大いに奮わせた物語は
まだまだ続くのでした。


>5/31
坊ちゃん団子の箱が

また出張に行ってモチベーションが下がったので
別の話題を一回だけ
入れます。
一回だけね。

話題っつーか
個人的な備忘録になるんですが。

コラムで書いたか忘れたんですが
たぶん書いてないと思うんですが
私の大学の同期に
浅野寿里という作家がいまして。
彼女とは
大学を出てから
ネットで初めて知り合い
お互いの個展で大いに語り合ったという
奇妙な縁なのですが。

その彼女が作品を作る時に
箱から作っていくんだ
という話をしてて
箱ですかと。
非常に感銘を受けたことを
憶えています。

私自身
作品をどう展示しようかというのは
いつも非常に悩む問題課題でして
描いた絵を
そのまま自分の思うとおりに
飾るにはどうすればいいのかと。
あれこれ考えるですよ毎回。

ひねくれもんですけん
単に額に入れるとかは
嫌なの。
でも作品むきだしとかもさ
いろいろ問題あるじゃないですか。
私の場合は紙の作品なので
耐久性の問題とか
画鋲で留めちゃっていいのかとか。
あと
醤油とかカレーとかが
はねて
絵に付いたらどうすんだとか。
考え出すとキリが無いわけですよ。

ところが
その箱っつーのは
つまり作品を入れる入れ物のことで
作品制作の最初に
まず入れ物から出発すれば
それをそのまま飾ってしまって
オケーなわけですよ。
作品を保護する役目にもなるし
箱なんだから
持ち運びもできるし。

そうかぁ
作品→入れ物
だから悩むんであって
入れ物→作品
の流れで作れば
すんなり作れるかもしんない
と思ったのでした。

ただ浅野さんの作風と私のとは
大きくかけ離れてたので
私なりに

についていろんなイメージやら
何やらを
ぼやーんと想ってたんですよ
この半年。

したら
こないだ松山で買った
坊ちゃん団子の箱がですね。
レトロでええなぁと素直に思いまして。


これ使うか。

そう思って出張から帰って自分ちの部屋見ると
気に入ったいろんな箱が
たくさん保存されてあったのでした。
ただ気に入って
保存してただけなんですけど。

箱って
開けたり
のぞいたり
いろいろ出来るなと。

作品になるかねぇ。


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